フォーの歴史
フォーの歴史は諸説ありますが、1940年代には、既に”フォー”は誕生していたといわれています。
フランスがベトナムを統治していた時代から、ハノイのフォーは”フォーの運び”として売り手に販売されていました。売り手は、フォーを肩に担いで、古代ハノイ城の小さな街を売りながら歩いていました。
フォーの発祥地についても諸説ありますが、やはり、”ハノイ”が発祥であるのは最有力です。1940年代の文学にも下記のように、”フォー”が登場しています。
『フォーはハノイだけではありませんが、ハノイでしか味わえない特別な贈り物です。』
『それはあらゆる種類の人々、特に公務員や労働者の毎日の食べ物です。人々は朝にフォーを食べ、昼にフォーを食べ、夜にフォーを食べます。』
100年以上の歴史があるフォーですが、フォーの美味しさの基準は変わりません。
フォーの料理人である私たちとしての課題は、古くから伝わる伝統の味を”現代のものとして”どのように再現するか、ということです。
フォーのレシピ
フォーに使用するものはとてもシンプルで、スープと麺、スライスしたお肉と野菜のみです。
お肉や野菜もフォーの美味しさを左右しますが、重要なのは、スープと麺です。この2つは、主人公とヒロインのような役割で、互いに高め合い、1つの作品を作り上げます。
スープは、牛肉の骨を数種類のスパイスと一緒に最低10時間は煮込みます。
この牛肉の骨が、シェフの腕の見せどころです。肉の付いていない適切な骨を選び、丁寧に洗って、鍋に入れ、水から、じっくりと煮立たせていきます。出来上がった美味しいスープは、透明感があり、香りがうすく、牛骨のイヤなニオイが全くありません。
フォーに使用する麺は、潰れず、しなやかなものを採用します。また、スープの味や香りがよく絡むものが理想です。つまり、スープが美味しくないと、麺が美味しくとも全く美味しくないものになってしまうのです。
フォーにとって、スープと麺は”命”です。どちらもが「美味しい」ものでないと、”完成”とはいえないのです。
生のフォー麺と乾麺の違いは、スープがよく絡むか、またフォーの香りがするかしないかにあります。生のフォー麺はやわらかく、ほんのりお米の香りがします。乾麺のフォーのスープは、スープにフォー麺の独特の香りが移ります。