ベトナム生まれの常食米麺「ブン」

ブンは、米、フォーに次いで人気がある食品で、米粉から作られます。ブン(bún)は、もち米のでんぷんを型に入れて成形し、熱湯で茹でた丸くて白い繊維状の食品です。

「ブン」はベトナム語で、ノム語(ベトナル古語)では「?」と書きます。

あまり馴染みのない字ではありますが、”米”が使われていることが字からも分かります。

ブンとフォーの違い

まずは、「形」や「色」など見た目が異なります。

ブンは小さく、断面が丸く、色は真っ白なのに対し、フォーは大きく平らで、断面は長方形、色は不透明な白です。

次に、原料となる「米粉」の使い方にも違いがあります。ブンを作る時は小さな穴から糸状に押し出され、すぐに沸騰した鍋で2分ほど茹でますが、フォーの場合は蒸してから切っています。

ブン米麺 写真: Wikimedia

さらに、ブンには発酵という過程もありますが、フォーは酸味を避けるため、挽いた麺は発酵せずにすぐに調理するという違いがあります。

生のブンの製造工程

生のブンの製造は高度な技術を要するため、手作業で行うのは時間がかかります。

方法としては、まず、米を厳選して洗い、一晩水に浸しておきます。その後、浸した米と水をミキサーにかけ、糊のきいた柔らかい米粉にします。

こうしてできた生地を再び培養して酸っぱい水を切ってからプレス機で大人のふくらはぎくらいの大きさのボール状にカットします。切ったボールは再び練り、綺麗な水で液状に混ぜられ、スクリーンを通して砂埃を除去し、ライススターチを形成します。

できたライススターチをブンの長い筒状の成形型に入れます。型の上部には丸い穴が空いていて、その穴から均一に流れ、圧縮されてブンとなります。型の下にセットした熱湯の入ったお湯で2分間茹で、麺同士がくっつかないように冷水で洗って完成です。

現在の生ブンは、ほとんど機械で生産されています。

ベトナムの水ブン料理

「水ブン」とは、スープを使ったブン料理のことです。

カニ肉を使ったもの、しいたけと豚足肉を使ったもの、牛肉と香草を使ったブンボーフエなど、いろいろなバリエーションがあります。

写真: Shutterstock

ブン料理のスープは、具材に骨や肉、魚醤、しいたけなどを使うことが多く、スープは透明で甘みがあります。

熱湯で湯通ししたブンを器に盛り、副菜やハーブを添えて、スープをかけて完成です。

乾燥ブン料理

ブン料理の中には、スープを別添えにすることもあります。

日本の料理でいうところの”つけ麺”に近いのが、ブンチャーという料理です。

写真: Shutterstock

皿の上に置かれたブン麺を焼いた豚肉を入れたつけ汁の器に少しずつつけて食べます。

こうしたスープのないブン料理は、エビのすり身やペーストを使った特製のタレを使ったもの、揚げ春巻きや揚げ豆、焼いたお肉などのおかずと混ぜて食べることも多いです。

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