「ソイ」 ベトナム料理の本髄

ベトナムは世界最大級のコメ輸出国として有名な国です。

ベトナム料理は米と密接に結びついており、ベトナム人の文化・伝統において重要な役割を果たしてきました。

もち米で作るソイは、ベトナム風おこわ。日本を含むアジア各国で栽培されている丸く短い形をした白いもち米で作る料理です。もち米は炊くと、粘り気があり、柔らかい香りと豊かな風味が楽しめます。


写真: 3色ソイ‐ Shutter stock

文化学者の研究によると、数千年前、ベトナムの人々は白米でなく、もち米を日常食にしていました。ソイは、もち米を蒸したあと、竹で作られた伝統的な籠「ノン」に広げて、熱をとります。実際、もち米は、今日のベトナム人の祖先である古代タイ(Thái)族、タイ(Tày)族とモン(Môn)族、クメール(Khmer)族が生産した最初の穀物とされています。もち米は古代ベトナム人の主食でした。

現在、ソイ (Xôi) はベトナムの日常のメインディッシュでこそなくなりましたが、それでも子供からお年寄りまで、世界中から愛される料理の一つです。高級レストランから路地の屋台までどこでも手に入ります。

長寿の儀式、結婚式、命日、満月の日、旧正月(テト)の祝日など、ベトナムの特別な行事・儀式に登場するベトナムを象徴するような料理でもあります。

さまざまな食材と組み合わせたソイは、その魅力的な香りと、ほかにはない味わいで人々を惹きつけています。そして、野菜、たんぱく質と組み合わせることで、味と栄養バランスを両立した一品になっています。蒸したもち米に、パンダンやガランガルの葉(緑)やクスノキの葉(紫)、ガク(赤)、ターメリック(黄色)など、野菜、塊茎、果物から抽出したエキスを加えることで、鮮やかな色合いと香りを生み出すこともできます。


写真:Shutter stock

もち米は、トウモロコシ、インゲン、小豆、サトイモ、ハスの種など、ほかの多くの材素材とも相性抜群です。こうしたさまざまな食材との組み合わせは、鮮やかな色合いだけでなく、もち米の種類に合わせた独特の風味を引き出すこともできます。炊き上がったもち米は、調味料で甘味や塩味、そして好みに合わせて色々なトッピングを加えることで、味わいが増します。


写真:Shutter stock.

北部ハノイのソイはターメリックの明るい黄色で色づいていることが多く、インゲンを添え、香り豊かなフライドオニオン、ワタ、春巻きなどをトッピングしていただきます。南部ホーチミンでは、砂糖、ココナッツベースの甘いソイがよく食べられています。時代と共に、ソイは人々のニーズや好み、地域性に合わせて進化を遂げ、さらに人気が高まっています。


写真:Xôi xéo – Shutter stock

ベトナムに豊かな米文化の伝統と結びついた、素朴ながらも洗練されたベトナム料理の一つであるソイ。バナナの葉に包まれたソイのイメージは、何世代にもわたってベトナム人の心に引き継がれ、外国人観光客にとってもベトナムを象徴する一品となっています

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