ベトナムのコーヒー文化

S字型の国土が特徴のベトナムに一度足を踏み入れると印象に残るのは、道路や通りにひしめくコーヒーショップではないでしょうか。おしゃれな高級カフェから、街角や歩道に小さなテーブルが並ぶ小さなカフェまで。ベトナムでコーヒーは、どこにいても欠かせない飲み物となっています。

ベトナムでは毎朝、歩道のカフェでコーヒーを楽しむ人の姿をよく見かけます。西洋諸国でコーヒーは仕事の集中力を高めるために重宝される飲み物ですが、ベトナムにおけるコーヒーは、日本では茶道が精神的な文化になっているのと同じように、生活習慣の一部として多くの人に根付いた飲み物となっています。

ベトナムで最も人気のコーヒーといえば、アイスブラックコーヒー (コーヒー、氷、砂糖) とカフェ・スア・ダー (コーヒー、コンデンスミルク、氷) でしょう。ただ、秋から冬にかけて冷え込む北部地域では、温かい砂糖入りのブラックコーヒーやコンデンスミルク入りのホットミルクコーヒーも欠かせません。

ベトナムは、コーヒーの淹れ方も独特です。ベトナムのコーヒーを淹れるフィルターカップは、二重で濾過できる構造になってため、抽出に時間が掛かります。ただその分、フィルターを通じてカップに滴るコーヒーからは深く豊かな風味が楽しめます。

ベトナムで主流のコーヒー豆は「ロブスタ種」です。ベトナム人は濃くて苦いコーヒーを好みます。ベトナムにロブスタ種を持ち込んだのは、フランス人で1914 年頃といわれています。フランス人は、ベトナムでロブスタ種のコーヒーを栽培するため、ベトナムの土壌、気候、標高などの研究を重ね、ベトナム中部の高原地域バンメトートを栽培地として選びました。1922 年までに、中央高地バンメトートの赤い玄武岩質だった土壌は、あっという間にコーヒー農園の広大な緑に変わりました。

そして現在、ロブスタ種のコーヒーは中央高原の地方だけでなく、ベトナムの南東部や中部地方でも栽培されるようになりました。耕作面積と生産量の増加に伴い、ベトナムコーヒーブランドとベトナムコーヒー文化は世界でもその名を知られるようになりました。現在、ベトナムは世界最大のロブスタ種コーヒー生産国となり、輸出額ではブラジルに次いで世界第2位となっています。ロブスタ種を中心としたベトナムコーヒーは、世界中でますます認知度が高まっています。

2020年、CNNの「世界がベトナムコーヒーに目覚める理由」という記事で、ベトナムコーヒーは伝統的な淹れ方以外にもさまざまな楽しみ方のある飲み物として紹介されました。ベトナムでは現在、濃厚なブラックアイスコーヒー以外に、コーヒーをアレンジした以下のような飲み物も楽しむことができます。

首都ハノイ名物の「エッグコーヒー」

ベトナムの首都ハノイで人気なのが、エッグコーヒーです。ベトナムコーヒーと新鮮な溶き卵の風味をブレンドした飲み物です。エッグコーヒーは20世紀初頭に登場し、以来、ノスタルジックなハノイの旧市街を連想させるベトナム独特の飲み物となっています。



首都ハノイ名物の「エッグコーヒー」
写真:Shutter Stock

ベトナム中部フエの「塩コーヒー」

塩コーヒーは古都フエ発祥の飲み物です。塩コーヒーは、古都フエの土地と人をイメージした、繊細な味わいの一品です。塩コーヒーは、コーヒーのほか、牛乳(練乳や生乳)、塩から作ります。塩コーヒーは10年以上前に誕生しましたが、現在も地元の人のほか、世界中の観光客から人気を集めています。


ベトナム中部フエの「塩コーヒー」
写真:Shutter Stock

「ココナッツコーヒー」

ココナッツは体に良いトロピカルフルーツの一つとして親しまれています。ココナッツコーヒーは、コーヒーと砂糖、ココナッツミルクを組み合わせて作ります。焙煎して挽いたコーヒーの芳醇な風味と、ココナッツの甘くてジューシーな味わいが絶妙に調和します。観光客からも人気の飲み物です。

ベトナムの「ココナッツコーヒー」
写真:Shutter Stock

コーヒーは、ベトナム人の習慣であり、欠かせない文化となっています。ベトナムを訪れた際には、ぜひこの独特の芳醇な味わいを味わってください。

そしてベトナムをより深く理解し、愛していただければ幸いです!

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