みなさん、ベトナム料理の「コムタム」をご存じですか?
コムタム(Cơm tấm)とは、直訳すると「割れ米(broken rice)」となります。
ベトナムは東南アジアで有数の米生産国。特に平地の多いベトナム南部で多く生産されていますが、このお米を精米・運搬する過程で割れてしまった割れ米を活用した、伝統的な庶民料理がコムタムなのです。
メインはこの割れ米を炊いたごはん。そこに、甘辛ダレに漬けて炭火で豪快に焼いた豚リブ(sườn nướng)そして、目玉焼き・なます・魚醤ダレ(ヌクマム)などをトッピングしてワンプレートにまとめたスタイルが一般的です。
日本人からみると、生姜焼き定食に似た親近感があります。
焼肉+ご飯+漬物=日本の定食感覚で親しみやすい
一皿で野菜・肉・卵がバランスよく摂れる
白いごはんを主食とする日本人にとって、割れ米の食感も新鮮で馴染みのある味わいです。ベトナム現地に住む日本人にもコムタムファンは多いです。
コムタムの起源は、20世紀初頭のホーチミン市(旧サイゴン)といわれています。当時、農民や労働者たちが、割れてしまった米粒を無駄にせず食べる工夫として生まれたといいます。やがて、屋台文化の広がりと共に、焼き豚や卵焼き、蒸し卵などのトッピングが加わり、食べ応えのある庶民のごちそうとして人気を集めるようになりました。
今では、ホーチミン市内には「コムタム専門店」がたくさんあり、地元の人々の朝食・昼食・夕食すべてに対応する万能メニューとなっています。
ベトナムの生活に根差したソウルフードのコムタム。最近は、日本人にもなじみやすいエスニックごはんプレートとして、日本のベトナム料理店でも取り扱うお店が増えています。
2025年4月には、大手牛丼チェーン「松屋」が限定メニューとしてベトナムの「コムタム風ポークライス」の販売を始めました。松屋は、世界の味シリーズで色々な国の料理とコラボレーションしており、ジョージアの郷土料理「シュクメルリ鍋」を一躍有名にしたことで知られています。その後、世界の味シリーズでは、台湾やポーランド、リトアニアなどたくさんの国とコラボをしていますが、今回はベトナムのコムタムが満を辞して登場となりました。
日本でも知名度が高まってきたベトナム南部のソウルフード、コムタム。
お米大国のベトナムはフォーやブンなどの米麺だけでなく、お米自体を楽しむ料理もたくさんあります。ベトナム旅行で見かけた際や、日本国内でベトナム料理に出会った際は、ぜひコムタムを食べてみて下さいね。
ベト屋の店舗でもコムタムを販売しています。ぜひご賞味ください!